あれから12年の月日が経ちました。
あれというのは、ルビーとサファイアがなんだかんだで陸の拡大を狙うマグマ団と海の拡大を狙うアクア団と戦って、なんだかんだで世界の危機を救ったっぽいことになって、なんだかんだでポケモンリーグ地方大会のサファイアはホウエン地方でチャンピオンに、ルビーはジョウト地方でチャンピオンになったことです。 『あれ』にあれこれ詰め込み過ぎと言われたような気がしたけど、気のせいですよね☆
詳しくは別ページの『ELEVEN×ELEVEN REPORT』と『なつとも!』を参照すればいいのですが、何百ページもある長い話見てらんねーよヽ(`Д´)ノという方のために、このお話に登場する主要人物を紹介しちゃいます!
「るっ、るるるぶるぶ、ルビー、ルビーッ!?
えらいこっちゃ! 窓の外に宇宙人と未来人と超能力者が!?」
自宅の階段を転がり落ちて大声で叫んでいるのが、本名小田牧 雄貴(おだまき ゆうき)こと、このお話の主人公『サファイア』
間違いのないよう書いておきますが、このお話ではサファイアが男性です。
ホウエン地方のポケモン博士、オダマキ博士の息子であり、第8回ポケモンリーグホウエンブロックのチャンピオン。
ついでにカイオーガのトレーナーでもあり、一見するととても立派な人物に思えますが、実際のところヘタレでおっちょこちょい、仕事もなぜかポケモン関係ではなくただの何でも屋と残念に服を着せたような奴なわけです。
その視線の先で無言のままMIBにつながる短縮ダイヤルを押したのが、本名瑠璃 遥(るり はるか)こと『ルビー』
12年前に真っ赤なバンダナとヒップバッグでホウエンを駆け巡っていた彼女は、実は元トップアイドル。
今は引退してミシロタウンに自宅を置く彼女は、時々ポケモンコンテストを荒らしまわるかたわら、サファイアの何でも屋の手伝いをしています。
ちなみに彼女は先ほどの第8回ポケモンリーグジョウトブロックチャンピオン、チャンピオンズリーグでも2位になった正真正銘の実力者です。
「せからしか! 雄貴、たまの休みくらい静かにできんとね!?」
声がかかってきたのは2階からです。
扉を開けて怒鳴っているのは本名小田牧 貴仁(おたまき たかひと)トレーナー名『エメラルド』。
サファイアの1つ下の弟、という人間関係は置いておいて、なんと第10回ポケモンリーグホウエンブロック及びチャンピオンズリーグの優勝者。
もうこいつが主人公でいいんじゃね?と、思わなくもないですが、人間1つくらい欠点がないと面白くないよねってことで、脇役の座に追いやられています。
その騒ぎを家の外で聞きながら、ピンポンを押すことも出来ず固まっている子供たちがいました。
新キャラの『アルファ』と『オメガ』、2人ともオダマキ博士の手伝いに来てくれているとてもいい子たちです。
「どーしよー、オメガくん! ルビーさんに次のコンテストの相談に来たのに、中に入れる空気じゃないよぉ!」
少し泣き虫なのが玉にキズのアルファちゃんは今年12歳。 ポケモンの見た目とパフォーマンスを競うコンテストライブ!のトップアイドルを目指す女の子です。
「それじゃダメだよ、アルファちゃん!
騒いでるってことは先輩たちに何か困りごとが起きてるんだ! ボクたちが何か手伝ってあげないと!」
マジメすぎるのが困りもののオメガ君も、アルファちゃんと同い年。
ある日突然オダマキ研究所に転がり込んできた彼は、サファイアとエメラルドのことを『先輩』と慕い、ことあるごとに博士やデボンコーポレーションから持ち込まれた研究を手伝ってくれています。
「でもでも、なんかすごい音が聞こえたし……」
暴力的なシーンを想像してアルファちゃんが涙目になっていると、オメガ君の健康的な茶褐色の肌とは正反対の、透けるように白い腕が伸びてきてオダマキ家のピンポンを鳴らした。
「はい。 これでいいですよね?」
そう言ってほほ笑んだのは、ミシロから2つ離れたトウカシティ出身のトレーナー、ミツル君。
カイワレみたいな緑色の髪に病的……というか、実際病気がちで白い肌をしていますが、これでも彼はサファイアと同じ第8回ポケモンリーグホウエンブロックの準優勝者です。
「おう、ミソカツ君やないか。」
「ミツルです。」
「せやったな、チヅル君。」
「ミツルです。」
12年前は病的に病弱だったミツル君ですが、あるきっかけでポケモンを持って旅をしたことにより、今ではすっかり……とまではいきませんが、とても元気になりました。
ついでに図太くもなりました。 サファイアにおちょくられたくらいじゃ負けません。
玄関を開けたサファイアとミツルがいつものやりとりをしていると、小さな子供たちが一斉にサファイアのもとへと寄ってきます。
「先輩! 大丈夫なんですか、なんかすごい音がしましたけど。」
「あー、さっき階段から落っこちてな。」
「全段転がり落ちたところで大したケガなんてしないでしょ。
サファイアさん、丈夫なだけが取り柄なんですから……」
呆れた顔でミツルはバッグから封筒を取り出します。
「はい。 オダマキ博士に頼まれていたトレーナーたちのリストです。」
「おお、悪いな。 エニシダさん元気やったか?」
「はい、元気過ぎて。 懲りてないんじゃないですかね、あの人?」
「おっちゃんやったら大丈夫て、前から言うとっと!」
会話に参加していなかったエメラルドが横から口をはさみます。
『エニシダさん』が昔、何をやったかは置いておいて、今の問題はミツルが持ってきた封筒の中身でした。
オメガ君とアルファちゃんも興味深そうに広げられた紙を覗き込みます。
見えそうで、見えません。
ミツル君が、後ろを振り返りました。
そのままモンスターボールに手を伸ばすと、ポケモンを……
あ、やば。
「サファイアさん、さっきから何なんですか、この子?」
大きなバクオングに持ち上げられてジタバタしている女の子を見て、ミツルは眉を潜めた。
「……カナズミシティから来てるセレナちゃん。
記者になりたいらしくて、先週からサファイアにつきまとってんの。」
面倒くさそうにルビーが答える。
バクオングの『ぺぽ』に持ち上げられた金髪の女の子セレナは、手足をジタバタさせながらミツルのことをロリコンだ誘拐犯だと好き勝手にののしっている。
彼女が別のお話の主人公になることもあるかもしれないが、それはそれで別のお話。
12年前、11歳だったルビーとサファイアが、今では23歳。
ホウエン地方のトラブルは、今日も収まる気配がありません。
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