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    激突!マグマ団VSアクア団

    いきなりですが、世界の危機です。




    何でも屋サファイアは、今、かつてない危機に直面していた。
    机の上にあるのは同じ日に届いた手紙が2通。
    今朝、ポストに届いていた封筒についていた見覚えのあるマークに慌てて中身を確認したところ、穏やかではない文面にサファイアの心臓は止まり続けている。
    中に書かれていた文面は、2通ともほぼ同じ。

    『今度こそマグマ団と決着をつける。昔のよしみで協力してくれるよな?』
    『今度こそアクア団と決着をつけようと思う。何でも屋をやっているお前に協力願いたい。』

    サファイアは頭を抱えた。 ちょうどルビーがコンテストに行っているときで良かったのか悪かったのか。
    とりあえず警察か。 ああ、でもこの手紙を見て勘違いしたあげく、逮捕なんてことになったらどうしよう。
    シダケタウンにいるゴールドに相談しようか。 でも、確かこの間学会があるとかいってジョウトに帰っていたような。
    だったらレオは……考えて、サファイアは身震いした。 絶対ダメだ。 沈静化どころか第3の勢力となってアクア団とマグマ団を取り込み、ホウエンを制圧するほどの悪の組織が出来上がってしまう。
    想像してガタガタ震えていると、頭の上でパシャパシャとシャッター音が鳴り、サファイアはビクリと跳ね上がった。
    見上げた頭の上を小さな鳥ポケモンが飛んでいく。
    窓から飛び出したそれを睨むように追いかけると、旋回して舞い降りた小鳥は帽子の下に金色の髪を隠したまだ若い女の子の前で止まり、自慢げに首に巻き付けられたカメラを差し出した。
    「やだ、これってすっごいスクープ!?」
    「待っ……!?」
    止める間もなく女の子はタクシーのようにオオスバメをつかまえて飛び去ってしまう。
    キャモメの鳴き声響く穏やかな陽気に包まれたサファイアは真っ青な顔で頭を抱え込んだ。
    アカン。 あの子の性格じゃ、絶対にロクな下見もせず、現場に突っ込んで積極的に巻き込まれる。
    マリとダイに電話して……もっとダメだ。 巻き込まれる人数が増えるだけだ。
    「なんちゅう子紹介してくれたんや……!」
    もう、こうなったら取れる手段はひとつ。
    あの女の子が突っ込むのよりも先にアクア団とマグマ団のところにたどり着いて、騒ぎが起きる前に説得するしかない。
    とても自分に出来るとは思えないけど。
    出来る気なんて、全然しないけど。



    待ち合わせの指定場所になっているエントツ山の山頂では、そうそうたる面々が連なりケンケンゴウゴウと言葉を交わし合っている。
    正直、あの中に降り立つのは気が引けたが行かないわけにもいかない。
    渋々集団から少し離れたところにチルタリスのクウを降り立たせると、集団の中のひとりがサファイアに気付き、走り寄ってきた。 サファイアは逃げ出した。
    「ちょっとォ、逃げることないじゃなーい?」
    「じゃかましかーッ! あんたの近くにおったら命がいくつあっても足りんわ!!」
    「んまっ。」
    そういってサファイアの半径5メートルの外でハンカチを噛んでいるのは元アクア団幹部、オカマのオルカ。
    相変わらず香水臭いし、エントツ山の熱気で溶け出しそうな程の厚化粧。
    「んもう、とって食ったりしないっていつも言ってるのィ……」
    サファイアはクウにしがみついてブンブンと首を横に振った。
    実のところ、アクア団の一部の皆様……特にこのオルカはそんなに『ひさしぶり』じゃない。
    12年前、ホウエンで起きたなんやかんやが解決した後、アクア団は解散し、団員たちもそれぞれ違う人生を歩き出した。
    「おや、サファイアさん。 お久しぶりです。」
    「おお、レイマー。 直接会うのは前のとき以来やな。
     儲かりまっか?」
    「おかげさまで。 そこそこ繁盛しています。」
    情報工作員だったレイマーとは年賀状の仲だ。
    5年くらい前、それまで修業していた店から独立し、キナギタウンでラーメン屋を始めたと細い字で書かれていた。
    行ってみようかと考えたこともあるが、キナギタウンは陸地から船で1日の絶海の孤島……というか、付近の海流が速過ぎて船で近付くことも困難な上、繋ぎ合わさった水上コテージで構成されているそこは島とすら言い難い。
    そんな場所で、「そこそこ繁盛」。
    「ツバつけとくべきやったな……」
    「相変わらず、冗談が好きですね。」
    「ホラ、言うでしょー? 『バカは死ななきゃ治らない』って。」
    さらりと甲高い声で毒を吐くのは、女団員のマナだ。
    彼女の情報は主に、ルビーを通じて入ってくる。
    「マナ……マグマ団のカナもやけど、よぉ今日来れたなぁ。
     事務所の行動制限とか厳しいんちゃうの?」
    「えー? そのときはそのときっていうかぁ……他ならぬリーダーの頼みだしぃ。」
    3年前、ご当地アイドル『HOE202』の末席に彼女と、元マグマ団カナの姿を見つけたときは飲みかけていたお茶を盛大に噴き出した。
    年若くはないものの、その毒舌キャラがウケてバラエティ番組などでまあまあの人気が出ているらしいが、サファイアは芸能界を引退したルビーに悪い気がして、あまり見ないようにしている。 
    ちょいちょいネットで騒がれているらしく、ルビーに「ぶろぐが炎上って、あの機械燃えるのか!?」とか尋ねられるのが主な情報源だ。 いったい何をやらかしたのやら。
    「そうよねェ。 あたしたち、現役時代はあおちゃんのお世話になったわけだし……こんな時くらい協力しないと、ね★」
    んで、オルカは今、オカマバーのマスター……もとい、ママだ。
    繁華街ミナモシティという好立地で、人気の多い時間帯に安い値段で普通の食事を提供してくれるものだから、最初はサファイアも通っていたのだが、12歳を過ぎた辺りで背筋に悪寒を感じるようになり、16歳を過ぎた辺りで男同士のコイバナに付き合わされ、割と最近、ビールを出されたと思ったらアルコールが強すぎて1杯目で倒れかけた。
    それ以来、サファイアは「半径5メートル以内に近づくなや!」と言い放ってこの肉食系オカマから全力で逃げ回っている。 年齢相応の節度は守っている分、成人した今がかえって怖い。

    そんな元アクア団たちに囲まれて昔話に花を咲かせていると、少し離れたところにいる集団から見覚えのある顔がこちらへと近づいてきた。
    「お久しぶりね。」
    赤いフードを被った女が話しかけてくると、元、アクア団たちの間にピリッとした緊張が走った。
    「12年ぶりかしら? お互い今の立場というものもあるでしょうけど、せいせい……」
    「待って。」
    「ち、ちょっと待ってちょうだい……」
    マナとオルカが同時にストップをかける。
    オルカは相変わらず筋肉だらけの巨体をひねると、アクア団の集団に振り返った。
    「誰かーっ! この女の名前覚えてる子いるーっ?」
    アクア団たちは殺気立った。 お互いがお互いの顔を見合わせ、お互いの顔を指差しては首を横に振る。
    「幹部のカガリよ! バカしかいないの、アクア団は!?」
    女幹部が怒鳴り返すとマグマ団たちも殺気だった。 お互いがお互いの顔を見合わせ、お互いの顔を指差しては首を横に振る。
    「へぇ~、おばさんそーゆー名前だったんだ~。」
    マグマ団サイドにいたカナ(人間)にまで言われる始末。
    まあ、無理もない。 前の話じゃ彼女、あとがきですら名前が出てこなかった。
    同じマグマ団からも恐れられた女幹部カガリ。
    今はあの頃のサファイアと同じくらいの子供を持った……やっぱり怖いおばさんだ。
    ……いえ、言いませんが。


    「ウヒョ! ウヒョヒョ!
     それじゃあ、この幹部ホムラ様のことは覚えているのかな? ウヒョヒョヒョ!」
    アクア団とマグマ団に挟まれる感じになったサファイアのもとに現れたのは、マクノシタに似た小太りの男だった。
    サファイアは首を横に振る。 だって知らないし。
    12年前に戦ったといってもアクア団やマグマ団全員と顔を合わせたわけじゃないし、戦ったわけでもない。
    だから知らなくてもしょうがないかなーとか思っていたら、2つに分かれていた集団のマグマ団の方から一斉に怒号のようなものが聞こえてきた。
    「だから誰なんだよ、お前!」
    「俺たちのホムラ様はそんなふとっちょじゃねぇっつーの!」
    「そうよ! ホムラ様はもっとシュッとして金髪のナイスガイだったわ!」
    「メンズホウエンの『イマドキ悪系男子☆』を飾るイケメンだったのに!」
    「引っ込めー、デブー!」

    「ウヒョ……」
    次々と巻き起こる罵詈雑言にサファイアは初対面のマグマ団に同情した。
    なんだかよく分からないけど、ホムラが太ったことはマグマ団にとってものすごく悪いことだったらしい。
    だからといってサファイアがどうこう出来る問題でもない。 だって、直接戦ってきたアクア団と違って、マグマ団のことはあんまりよく知らないし。



    「……人の身体的特徴をあげつらって責め立てるのは感心せんな。」
    特徴のある低い声が聞こえ、それまでぎゃあぎゃあと騒ぎ立てていたマグマ団たちが一斉に、水を打ったように静かになった。
    声のする方へと視線が動き、人の割れた波間からコツコツと上等な革靴の音を響かせ赤いコートの男がやってくる。
    「マツブサ!」
    さすがにその男の名前はサファイアも覚えていた。
    かつて、このホウエンの海を干上がらせ陸地を拡大しようとしたマグマ団のリーダー、マツブサ。
    マグマ団が解散した今もその威厳とプレッシャーは健在で、有象無象の集団を一言で付き従わせる発言力がある。
    ……が。
    「……リーダー、そのメガネ……」
    「メガメガネだ。 スタイリッシュの発信地カロス地方でオーダーメイドしてきた。」
    なんで、なんでメガネ。 しかもメガメガって。 すごく似合ってない。
    「よく聞け、皆。 人の身体には、その人間が生きてきた環境が表れるものだ。
     トレーニングやダイエットのように本人の努力によって変わるものもある、しかし、貧困、天災、事故、あるいは疾病など避けようもない事態に置かれ、変化を余儀なくされるものもいるのだ。
     で、あるからして、このホムラの変化を受け入れられなかったからといって……ホムラ!?」
    マグマ団の腹筋は試練のときを迎えていた。
    そうですリーダー、ホムラなんです。 真っ赤な猫耳パーカーを着て金髪で顔を半分隠していた、あのホムラなんです。 ついでになんなんですか、メガメガネ。
    「1度は同じマグマ団として結束した絆がある以上……み、見た目がどうであろうと……ほ、ほむら?に対する……」
    マグマ団たちは一斉に唇の裏を噛み締める。
    リーダーだって動揺してるじゃない。 さっきからホムラと1度も目を合わせようとしないもの。
    「そんなことより、マツブサー。 この手紙送ったのあんたやな?
     いったいどういうことやねん、ことと次第によっちゃ容赦せーへんぞ?」
    口をはさんだサファイアにマグマ団の面々は心から感謝した。 岩だらけのエントツ山にグラシデアの花が咲き誇りそうなレベル。
    クイッと、メガメガネを押し上げてサファイアの方を見ると、マツブサは懐から懐中時計を取り出した。

    「そういきり立つな、元チャンピオン。 この話はお前にとっても悪いものではない。
     まずはアオギリが来るまで……」
    「オウ、呼んだかッ!?」
    エントツ山の乾燥した空気を切り裂くような派手な怒鳴り声とともに、その男は現れた。
    待機していたアクア団たちが口々に「あっ」と小さな声をあげる。
    アオギリ。 マツブサと同じくかつて世界の危機を作り出しかけたアクア団の元リーダー。
    海底洞窟で眠っていたカイオーガを呼び覚まし、ルネとトクサネとミナモシティに大雨を降らせてあわや大洪水になりかけたところを、サファイアの活躍でなんとか沈静化して、お話は大団円を迎えたのでした。 めでたしめでたし。
    今は反省して漁師ギルドで働いてるとか年賀状に書いてあったけど、それならどうしてこんな騒ぎになったのか。
    「アオギリ! あんたもなんなんや!
     場合によっちゃトビに頼んであんたの船の真上だけ大雨降らすで!」
    『トビ』はそのどさくさに紛れてサファイアが捕まえたカイオーガのニックネーム。
    多分、トビにそのお願いをしたところで「めんどい」の一言で却下されるだろうが、名前を借りるだけならタダだ。
    「んな取ってつけたような脅しでビビるかよ。 そんな面倒くせー頼みおめえさんがしたところで、鼻で笑われんのがオチだろ?」
    バレてた。 サファイアとカイオーガの微妙な主従関係。
    「まぁ、そうキリキリすんな。 この話はおまえさんにとっても悪くねぇ話だと思うぜ?」
    「マツブサもそう言うとったばってん、いい話のわけなかやろ!?
     アクア団とマグマ団の全面戦争なんて起ころうもんならホンマトビの尻引っぱたいても止めさせてもらうで!」
    「なんだ、マツブサのヤローもコイツに助っ人頼んだのか。」
    「人手が欲しいのはお互い様だろう、アオギリよ。」
    勢いでテンパって素のミシロ弁が出てるサファイアを挟んで、アオギリとマツブサが睨みあう。
    逃げるか、それとも強制的に鎮圧するか(多分無理)、サファイアは考えていた。
    そんなサファイアの様子を察知したのか、マツブサは何か言おうとしていたアオギリを片手で制すと、抑揚のない声色でサファイアへと話しかける。
    「チャンピオンよ。 同時に手紙が届き、戸惑っているのであろう。
     なに、難しいことはない。 この場でアクア団につくか、それとも我々マグマ団につくか、貴様は選べばよいだけなのだ。」
    「そんなん、どっちに着いてもホウエン中を危険に晒すことになるだけやろーッ!?」
    「危険んー? 何言ってんだ、おまえ?」
    「同封したチラシにも書いてあっただろう。
     我々は新生マグマ団として、ご近所の皆々様にご迷惑をおかけすることなく、アクア団と決着をつける。」
    なんやそれ。 サファイアは頭の上にハテナマークを浮かべながら聞き返した。
    送られてきた手紙の中にチラシなんて入ってなかったし。 そう言うとマツブサに睨まれたホムラがビクリと肩を跳ね上げる。


    「せやけど、こないな大人数でご近所さんに迷惑かけん対決方法なんて……」
    「それが、あるのだよ。 元チャンピオン。」
    「おうよ! 先月忘年会の打合せをしてるときに思いついたのよ!」
    混乱するサファイアに、「今、アクア団とマグマ団、月1で飲み会開催してるのよ」とオルカが教えてくれた。 香水臭い。
    フフフ、と、同時に含み笑いすると、マツブサとアオギリは同時にサファイアの前に並び立った。 もう決着とか必要ないくらいに仲いいんじゃねーの、この2人。
    「ホウエン中を股にかけ!」
    「人にもポケモンにも自然にも優しい対決方法!」
    「世の大人たちの好奇心を刺激し!」
    「未知の世界を開拓して発展への礎にする!」
    「聞いて驚け!」
    「その対決方法とは……」

    「スーパーひみつきちだ!」
    「スーパーひみつきちだ!」

    2人並び立って声高々に宣言した元マグマ団リーダーと元マグマ団リーダーを前に、サファイアは心の中で「何を言ってるんや」と反論した。 もはや喉から音を出す気力すら起こらない。
    マグマ団やアクア団のしたっぱたちから、地を震わすような雄叫びが響く……わけでもなかった。
    そりゃあ、あれから12年経って、皆さんいい年ですもんね。
    そんなしらけムードのマグマ団とアクア団をすり抜けて、ひとりの男が騒ぎの中心……サファイアとリーダーたちがいる方へと近づいてきた。
    マツブサとアオギリはその男の姿を見るとニヤリと笑う。
    この男、何者なのか……?
    気になる展開を残しつつ、お話は次回へ続く!


    【!次回予告!】
    突如現れた謎のカウボーイ!
    圧倒的な実力でマツブサとアオギリをねじ伏せると、その矛先はサファイアへと向けられた!
    「次は……お前がアレする番だぜぇ?」
    頑張ってサファイア! ホウエン地方の運命はあなたのアレにかかっているの!
    次回 『敗北!世界はギリーの手に』
    みんなもポケモン、ゲットゲットォ☆
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